よくあるご質問

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事業全般

日本でCO₂排出量が多い千葉県において、地域の産業を守りながら脱炭素化を進めるプロジェクトです。千葉県は大規模な工業地帯や商業施設、交通インフラが集中しており、日本国内で最も産業分野由来のCO₂排出量が多い都道府県とされています(環境省 2021年度)。

最大の特徴は日本有数のCO₂排出源である、京葉臨海コンビナートから排出されるCO₂を同県内で貯留することです。本事業を通じて、千葉県内の脱炭素化に貢献します。

先進的CCS事業とは、経済産業省とJOGMECが推進する、2030年までのCCS事業開始を目指した国内外のモデルプロジェクト支援制度です。CO₂の「分離・回収」「輸送」「貯留」までのバリューチェーン全体を対象に、事業化に必要な調査・設計・評価を支援しています。
首都圏CCS事業は、2023年度からJOGMEC(エネルギー・金属鉱物資源機構)の委託を受け、事業性調査、設計作業等を実施しています。

東京湾から排出されるCO₂を、分離回収・液化し、専用の液化船でCO₂をマレーシアに運び地下貯留する「マレー半島北部沖CCS事業」があります。

初年度は年間120万トン、将来的には年間約500万トンのCO₂の貯留を見込んでいます。これは面積5,700km²の森林が一年間に吸収するCO₂に相当し、千葉県の約1.1倍の広さにあたります。

INPEXグループでは、世界銀行グループの国際金融公社(IFC)が定める国際基準に準じ、環境社会影響評価のガイドラインを定め、自主的な環境社会影響評価を実施しています。
この基準は、自然環境だけでなく地域社会への影響など多岐にわたるリスク管理を定義したものです。
本事業においても、当該基準に基づいた環境社会影響評価を行っており、必要に応じて設計変更など緩和策を講じています。

地震の影響も考慮して、地上の施設・パイプラインと地下の地層の両面から安全性を確認します。
地上の施設やパイプラインは、地震や地盤の変化を考慮した耐震設計とします。また、万一異常が生じた場合には、複数の遮断弁によってCO₂の流れを速やかに止め、影響の拡大を防ぐ安全設計とします。実際に、地盤の性状や液状化などがパイプラインに与える影響について調査し、その結果を設計に反映しています。
地下については、CO₂の圧入による圧力変化や、自然地震、断層などの影響を考慮し、貯留層やその上を覆う遮へい層が壊れたり、CO₂が漏れたりしないかを事前に評価します。現在の解析では、地層が安定した範囲内でCO₂を圧入できる見通しを確認しています。今後は、試掘で得られる地層の強度、圧力、断層などの実際のデータを反映し、安全性を改めて確認した上で、圧入量や圧力などを含む計画を策定します。

■ 地震への対策

大きな揺れが発生しても、施設や設備が倒壊することなく、ガスが漏えいしないよう耐震設計を行います。地震を検知した場合は、緊急安全装置が作動し、安全性を確保します。


■ 津波への対策

・レベル2津波(約1,000年に1回程度)に対しては、人命を最優先に、想定最大津波高に対応できる津波避難タワーを設置します。
・レベル1津波(数十〜数百年に1回程度)に対しては、人命保護に加え、重要設備が浸水しないよう敷地をかさ上げします。


■ 発生時の対応

大きな地震や津波が発生した場合は、直ちに操業を停止し、遮断バルブを閉止します。
万が一配管からCO₂が漏えいした場合でも、バルブを閉止することで漏えい量を抑え、CO₂の大部分は放散塔から安全に放散します。

陸域の水溶性天然ガス井から取得した地層データを用いて数値解析を行った結果、海域で圧入したCO₂が陸域に到達することはないと評価しています。
今後は、海域での試掘結果を踏まえてCO₂の広がりを再評価・検証し、改めて既存のガス井に影響がないことを確認します。

パイプライン

地下に埋められた、直径約70cmの鋼製パイプラインの中を通し輸送します。パイプラインは十分な厚さと強度を確保し、腐食対策を実施の上、国の安全基準を満たしたものを使用します。365日24時間体制で監視し、万が一漏えい等を検知した際は速やかに安全処置を実施します。

設置に向けた設計や安全確認のため、以下の調査を行います。


■測量作業

候補ルートの状況を確認し、設計図面を作成するために行います。

■ボーリング作業

「非開削工事*(推進・シールド工法)」に必要な、耐震設計や液状化対策のために地質データを取得します。
*地表深く掘り進めるのではなく、特定地点からトンネルのように横へ掘り進めて管を設置する方法。道路を掘り返す範囲を最小限に抑えられ、環境影響を抑えられます。


■試掘作業

候補ルートにおける既存埋設物を確認し、最適な工法の選定や交差箇所の安全確認を行うために実施します。

パイプライン工事は、周辺の道路状況や地盤条件に応じて、以下の工法を用いる予定です。


■開削工法

道路などを必要な深さまで掘り、パイプラインを設置した後に土を埋め戻す方法です。道路上での作業となり交通規制を伴うため、地域の皆様への影響を最小限に抑えられるよう、施工計画を立て進めます。


■非開削工法

特定の地点に「入り口」と「出口」となる穴を掘り、その間の地中をトンネルのように掘り進めて管を設置する方法です。
・推進工法
河川・鉄道横断部など開削が不可能な場所や交通量が多い交差点などで用いられます。作業スペース確保のため、道路の一部規制や、近隣の民有地をお借りする場合があります。
・シールドトンネル工法
長距離で道路を掘り返すことが不可能な場所で用いられる地下トンネル工法です。地下深くを掘り進めるため、工事中に交通規制が発生することは基本的にありませんが、入り口に数千㎡の作業スペースを長期間設ける必要があり、基本的に民有地をお借りすることになります。

※これらは事業化が決定した場合に想定される工事方法の概要であり、現時点で事業化が決定しているものではありません。(2026年8月時点)

CO₂パイプラインは通常の高圧ガスパイプラインにCO₂特有の性質を加味したデザインとなります。高圧ガスパイプラインは、日本国内で約5,000km整備されています。
INPEXはそのうち3割に当たる約1,500kmを保有し、運用・維持管理を行っています。また、昭和30年代に日本で初めて高圧ガスパイプラインを整備しました。
こうした長年にわたる建設・運用・維持管理の経験を有しており、高圧ガスパイプラインに関する技術は確立されています。CO₂特有の性質によるリスクにも適切な対策を講じながら、安全性を最優先に取り組みます。

長期にわたり安全かつ安定して使用できるよう、パイプラインの内部・外部の両面から腐食対策を講じます。
パイプライン内に受け入れるCO₂は、水分や不純物を百万分の一レベルまで低減したものに限定することで、内部腐食を防止します。また、水分や不純物が輸送中に新たに生成されることはありません。
外面にはポリエチレン被覆を施し、土中の水分との接触を遮断して腐食を防止します。土壌環境で発生する電気的な腐食については、「電気防食」と呼ばれる技術により防止します。
こうした対策により、100年単位の耐用年数を実現します。
※道路改良工事等に伴う実管の肉厚計測結果に基づく評価
加えて、管内の状態や管厚を専門機器で定期的に確認し、継続的な維持管理を行います。

CO₂パイプラインは、震度7クラスの地震や地すべりなどの自然災害が発生した場合でも、CO₂の漏えいが発生しないように設計しています。
※詳細は「CO₂を運ぶパイプラインは、地震が起きても安全ですか?」をご参照ください。
漏えいの要因として主に想定されるのは、他工事による掘削などの人為的な損傷です。こうした事象の発生を最小限に抑えるため、以下の対策を実施します。
・埋設表示テープや案内看板の設置による注意喚起
・防護鉄板等による防護措置
・パトロールの実施および啓発活動を通じた工事前照会の徹底

万が一漏えいが発生した場合には、影響を最小限に抑えるため、以下の対応を行います。
・監視センター(仮称)による24時間365日の常時監視により異常を早期に把握
・排出事業者からのCO₂受入れ停止
・バルブ区間の遮断および放散塔からの放散
・現地への速やかな出動と緊急対応(立入禁止区域の設定等)
なお、緊急時の対応体制については、自治体等との協定締結も検討しています。

国が定める基準・指針に基づき設計・施工を行い、震度7クラスの地震に対しても漏えいを防止できる粘り強さを確保します。

これまでに国内で発生した大地震においても、パイプラインの重大な被害は確認されておらず、十分な耐震性を発揮してきました。
例:阪神・淡路大震災、新潟県中越地震、新潟県中越沖地震、東日本大震災

また、液状化による側方流動への粘り強さを確保することで、地すべり等が発生した場合でも漏えいしない強度となります。

2004年:新潟県中越地震(道路崩落が発生する中、パイプライン被害なし)
1995年:阪神・淡路大震災(液状化・側方流動が発生する中、パイプライン被害なし)

パイプラインのルートは、事前に地質調査を実施し、安全性を最大限確保できる経路を選定しています。 やむを得ず地質条件の厳しい場所を通る場合には、土砂が動く可能性のある層よりもずっと深い位置にパイプラインを設置建設するなどの対策をします。

地震や津波などの災害時には、緊急遮断弁と呼ばれる安全装置が作動することで、CO₂が地上へ漏れ出すことを防ぎます。圧入箇所では、温度と圧力をはじめとしたさまざまな項目に異常がないか常にモニタリングし、入念に安全を確かめられる環境を整えていきます。

房総半島には、すでに天然ガスパイプラインが多数敷設されています。これらのパイプラインは、過去の地震や自然災害の際にも大きな損傷は確認されておらず、安全に稼働が継続されてきました。本事業においても、これらと同等の安全基準に基づき計画しています。

2020年にアメリカ・ミシシッピ州で、地すべりによるCO₂パイプライン破断事故が発生しました。(当時の運用圧力:約9.7MPa、超臨界状態で輸送*、2009年設置)
事故報告では、地すべりリスクの評価が十分でなかったことや、圧力監視と事故発生時の自治体や住民への連絡に問題があったなどが指摘されています。

本事業では、当該事故を踏まえ、以下の対策を講じます。
・地すべり等のリスクが高い場所を避け、やむを得ず通過する場合は、地盤の影響を受けない深さに埋設
・万が一地盤変状が発生した場合でも、漏えいを防止できる強度を確保するとともに、圧力管理や監視体制など複数の安全対策を重ねて計画
また、国の基準・指針についても当該事故を踏まえて整備されており、これらの基準を満たさない設計は認められていません。
*液体と気体の境界線を超えた高圧・高温な状態

貯留

九十九里地域は、水溶性天然ガスの開発・生産を通じて、地下の地層に関するデータが豊富に蓄積されています。また、既存の調査結果から、九十九里沖には、CO₂を受け入れる貯留層と、CO₂を閉じ込める遮へい層が、適切な深さと厚さで分布する可能性が高いと評価しています。
一方、内房側では、CO₂貯留に適した深さにある地層の分布や厚さが外房側より限定的で、地下のデータも比較的少ないことから、現時点では九十九里沖をより有望な候補地として調査しています。
また、内房から外房までパイプラインを整備することで、将来的なCO₂排出事業者の参画など、事業拡張にも柔軟に対応できると考えています。

地域の皆さまの安心を最優先に考え、居住エリアから十分な距離を確保できる海域での貯留を計画しています。
CCSに適した地層が広がる陸域では、居住エリアを完全に避けて事業を行うことは困難です。そのため、心理的・物理的に余裕を持った距離を確保できる海域での貯留を前提としています。
なお、国により指定された本事業の特定区域も海域となっています。

CCSは、国連の気候変動に関する政府間パネルである IPCC が公表した第6次評価報告書(AR6)において、大規模なCO₂削減に向けた有効な選択肢の一つと位置づけられています。
CCSで用いられる圧入や地層評価などの主要技術は、石油・天然ガス開発の分野で石油増産技術として過去50年間以上にわたって活用され、成熟してきた技術です。 日本国内では苫小牧において実証試験が行われ、大都市近傍でCO₂分離回収から貯留まで一貫した実証として高く評価されています。
また、海外では1996年に操業を開始したSleipner CCSプロジェクトでは、30年近くにわたり圧入とモニタリングが続けられ、その実績は他の多くのCCSプロジェクトや技術指針に活用されています。

CO₂は圧入後、砂粒の間にある小さな隙間へ広がります。その後、浮力によりゆっくりと上方へ移動しますが、上部に遮へい層があるため、それ以上の移動はせず、安定的に貯留された状態になります。
その後、CO₂は徐々に地層中の水に溶解していき、また長い年月をかけて周囲の鉱物と反応して最終的には固体の鉱物として固定されていきます。

国の機関が過去に実施した調査によると、貯留想定エリア付近に活断層は確認されていません。

CCSの技術は1970年代より世界各地で用いられ、その安全性について検証されてきました。日本では、2016年から2019年に北海道苫小牧市で「苫小牧CCS実証実験」が行われましたが、圧入開始後から現在までCO₂の漏えいは確認されていません。
本事業においても、国の安全基準に従い、CO₂を確実に閉じ込められる層であることを事前に確認します。加えて、圧入中および圧入後には、地層の圧力や温度を継続的に測定し、CO₂の分布範囲を検査することで、異常の有無を確認します。

IPCCの2005年特別報告書では、CO₂が漏れる可能性そのものは否定していません。しかし、適切な地質構造を選び、継続的に監視・管理を行うことで、貯留したCO₂の99%以上を1,000年以上地中に保持できる可能性が極めて高いと評価しています。漏えいリスクはゼロではないものの、サイト選定や監視によって非常に小さくできるとされています。
また、ノルウェーのSleipner CCSでは1996年の操業開始以降、2023年時点までに累計約2,000万トンのCO₂が海底下の地層に貯留されていますが、適切な監視の下、大気中や海水中への漏えいは確認されていません。
このように、海外でも長期間の運用実績が積み重ねられています。

脱炭素とCCS

主に二酸化炭素などの温室効果ガスの増加により、世界の平均気温は産業革命以前と比べて上昇し続けています。これに伴い気候変動が加速し、自然災害の増加や、産業・生活への悪影響が顕在化しています。
産業革命以前からの気温上昇を2℃以内(パリ協定の目標値)に抑えられなければ、こうした影響はさらに加速すると予測されており、人類や動植物の適応が追いつかなくなるほか、新たな伝染病の増加や海水面上昇による居住地の水没など、さらなる影響の拡大が指摘されています。
こうした深刻な事態を回避し、持続可能な社会を次世代に引き継ぐために、カーボンニュートラルの実現は避けて通れない課題となっています。

気象庁「気候変動ポータル」データをもとに作成

2020年10月、日本政府は「2050年までにカーボンニュートラル」を目指すことを宣言しました。これは、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出量を減らすだけでなく、植林や森林管理による吸収量を差し引いて、合計を実質的にゼロにすることを意味します。この目標を達成するには、排出量の削減と、吸収作用の保全・強化を同時に進める必要があります。その中で、削減しきれないCO₂を地中に埋める「CO₂分離回収・貯留技術(通称:CCS)」は、カーボンニュートラル実現に欠かせない技術であるという認識が、世界的に広がっています。

「CCS」とは、「Carbon dioxide Capture and Storage」の略で、日本語では「二酸化炭素回収・貯留技術」と呼ばれます。発電所や工場などから排出されたCO₂を、他の気体から分離して集め、パイプラインや船舶で輸送し地中深くに貯留する技術で、大気へのCO₂排出削減が可能です。
日本では、北海道苫小牧市でCCSの実証試験が実施され、2016年から2019年にかけてCO₂貯留の実績があります。

CCSは鉄鋼業や化学工場など、CO₂発生が避けられない分野での脱炭素化に有効です。再生可能エネルギーや省エネ技術とあわせて活用することで、世界全体のCO₂排出量削減に貢献できます。

2050年のカーボンニュートラル実現には、再エネ・省エネのみでは脱炭素化が困難な産業分野が存在します。2025年2月18日に閣議決定された「第7次エネルギー基本計画」では、「GX2040ビジョン」および「地球温暖化対策計画」とあわせて、エネルギーの安定供給、経済成長、脱炭素の同時実現に取り組む方針が示されました。その中でCCSは、具体的な取り組みを進めていくべき重要な事業として位置づけられています。

CCSの疑問

CCSは石炭火力発電だけを対象としたものではありません。CCSは、脱炭素化が容易ではない製鉄業やセメント業などにおいて、CO₂排出量を削減するための有力な解決策の一つです。産業分野でのカーボンニュートラルを実現し、社会全体の脱炭素化を推進するために欠かせない技術として期待されています。

CCSを含む地球温暖化対策には費用がかかりますが、地球温暖化対策をしなければ将来の災害対策や被害復旧にも費用がかかります。
どちらも社会全体で負担する費用であり、その中で最も効果的な方法を選ぶことが重要だと考えられています。

海外ではCCSプロジェクトが近年急拡大しており、北米(アメリカ、カナダ)や欧州を中心に多数操業中です。アジアにおいては中国やマレーシアが先行して事業を進めています。直近では2025年8月に、ノルウェーで新しい大型CCSプロジェクト(Northern Lights CCS)が操業を開始しました。
このように、世界各地で社会実装が進んでおり、着実に実績が積み上がっています。

その指摘は1995年から2018年にかけて開始・計画された古い情報に基づくもので、現在は世界中で多くのプロジェクトが着実に進展しています。
2018年以降に発表されたプロジェクトで正式に中止が確認されたものは10%未満と推定されます。ただし、現在は開発中のものが大多数に上るため、今後の推移を見守る必要があります。

2025年9月3日に学術誌Natureに掲載された研究論文において、全世界のCO₂貯留容量の推定値が従来より小さく見積もられました。しかし、この研究においても、CCSが脱炭素化に重要な役割を果たすために十分な貯留容量が存在するとされています。
同論文では、全世界のCO₂貯留推定量を1460ギガトン※と推定しています。これは従来の評価より少ない数値ですが、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)の結論とほぼ一致しており、CCSの有用性を否定するものではありません。
なお、本論文の前提条件は保守的であり、実績と比較して貯留量が過小評価されている側面もあります。重要なのは、理論上の総貯留量のみを議論するのではなく、気候変動対策として、今ある貯留地をスピード感をもって有効活用していくことです。
※1ギガトン=1,000,000,000トン

1986年にカメルーンのニオス湖で、湖底からマグマ起源の高濃度CO₂が大気中に漏えいし、1,700人以上が亡くなる事故がありました。しかし、この事故は現地特有の自然条件(マグマ、湖、気温等)が原因で引き起こされた自然災害であり、CCS事業とは全く無関係です。
CCSは、CO₂を安定した地層に封入し、漏えいが起きないよう厳重な管理とモニタリングを行うものであり、自然現象による突発的な噴出とは仕組みが根本的に異なります。

これまで、国内外の深部塩水層におけるCCS事例で、大きな地震が誘発された事例は確認されていません。
本事業では、試掘などで把握した地層の状態や強度を踏まえてCO₂の圧入条件を事前に評価・検証したうえで、地層を不安定にするような圧力で圧入は行いません。また、貯留層の深さが約1〜2kmであるのに対し、貯留想定エリア周辺で発生している自然地震の多くは深さ約30km程度です。深さが異なるため、直接的な要因となる距離ではないと考えられます。CO₂圧入後も、地層内の圧力変化や微小振動、CO₂の移動状況を常時監視し、周辺で地震が発生した場合でも、データに基づき客観的に評価・説明できる体制を整えます。
なお、誘発地震に関する懸念は、シェールガス開発に伴う事例と混同されている可能性が指摘されています。

シェールガス開発では、ガスを取り出しやすくするため、高い圧力で水などを注入し、岩石に人工的な亀裂をつくります。
一方、CCSでは、もともと岩石の粒の間に隙間がある地層に、岩石やCO₂を閉じ込める遮へい層を壊さないよう、圧力を管理しながらCO₂を圧入します。CCSは岩石に亀裂をつくることを目的とする技術ではありません。
CCSでは、圧入に伴う地下の圧力変化を考慮し、地層の強度や断層の分布を事前に調査した上で、誘発地震の可能性を含めて地層の安定性を評価します。また、圧入中も地下の圧力や微小な振動を継続的に監視し、異常の兆候が確認された場合には、圧入量や圧力の調整、必要に応じた圧入の停止などを行います。
このように、シェールガス開発とCCSでは、圧入の目的、対象とする地層、圧力の管理方法が異なるため、両者を同一のものとして捉えることは適切ではありません。

CCSではCO₂を海水中ではなく、海底下の地層に貯留するため通常の運用において海洋酸性化は起こりません。
一方で、仮に海底からCO₂が漏れた場合の影響を調べるため、2012年にイギリスで実験が行われています。


QICS実験(Quantifying and Monitoring Potential Impacts of Sub-sea CO₂ Leak)

概要
実施場所:スコットランド・アードマックニッシュ湾(浅海域)
実施期間:2012年5月〜6月(37日間)
漏えい量:1日あたり約1トンのCO₂を海底下11mに注入
目的:海底下でのCO₂漏えいが海洋環境に与える影響を定量的に評価

結果
・海洋酸性化
漏えい地点周辺で海水のpHが最大約0.4低下したが、影響範囲は半径10〜20m程度に限定され、注入停止後は24〜48時間以内で回復傾向が確認された。
・生物への影響
貝類など石灰質の殻を持つ底生生物の一部に影響があったが、海藻類や一部の無脊椎動物では顕著な影響は確認されず、生物群集全体の変化は限定的と評価された。

この実験では、仮に局所的な漏えいがあった場合でも、影響は限定的であることが示されています。

主な原因は、大気中のCO₂を海が吸収することです。人間活動(主に化石燃料の燃焼)により、毎年約350億〜400億トンのCO₂が大気中に排出されています。このうち約25〜30%が海に吸収されており、年間約90億〜120億トンのCO₂が海に溶け込んでいることになります。
CO₂が溶けると、海水はわずかに酸性側に傾きます。これが現在進行している海洋酸性化の主な要因とされています。