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CCSを支える掘削

CCSにおける貯留工程の事前準備として「地層の選定」「地下評価」を行うには、地面を深く掘ることが必要です(掘削)。掘削が果たす役割、用いられる技術、安全性について詳しく紹介します。

掘削の役割

CCSは、二酸化炭素を分離・回収し、貯留に適した地域まで輸送したのち、地下に長期間かつ安定的に貯留する技術です。
CCSにおける「貯留」の工程では、長期にわたりCO₂を安全に管理することが前提となります。そのため、地下の地質構造や性質を事前に正確に把握し、安全性を確認することが重要です。
地表から得られる情報や既存データだけでは、地下深部の状態を十分に確認できない場合があるため、実際に地面を深く掘り、地下から直接データを取得します。これが、CCSにおける「掘削」の役割です。
掘削は、貯留そのものではなく、貯留の可否や計画の妥当性を判断するために重要な工程です。掘削を通じて得られる地下の情報は、貯留層の適性評価や、今後の計画を検討するための基礎として活用されます。

作業内容

掘削に関連する作業は、地質調査から地下評価を経て、CO₂の貯留に向けた準備へと段階を分けて進めます。各行程で得た情報をもとに、次の工程へ進むか確認しながら、慎重に検討を重ねます。

地質調査
評価
評価井掘削
地下評価
圧入井・観測井
準備

事前調査・評価

稼働準備

事前調査・
評価

稼働準備

地質調査
評価
評価井掘削
地下評価
圧入井・観測井
準備

事前調査・評価

地質調査・評価

掘削計画の第一歩は、地質構造の正確な把握です。当社では、地震探査や近傍坑井の既存データ等を駆使し、貯留層の位置・厚さ・透水性を詳細に解析します。これにより、CO₂を安全に封じ込めるための最適な掘削位置と深度を決定します。さらに、断層や破砕帯などのリスク要因を事前に特定し、掘削中のトラブルを未然に防ぎます。

評価井掘削・地下評価

評価井の掘削は、地下の実態を直接確認する重要な工程です。コア試料採取や電気検層により、貯留層の岩石特性や圧力条件を精密に評価します。これにより、CO₂の長期的な封じ込め性能を科学的に検証し、貯留計画の信頼性を高めます。
評価結果は、圧入井掘削設計や安全管理に反映され、プロジェクト全体のリスク低減に直結します。

稼働準備

地質調査や地下評価の結果を踏まえ、CO₂の圧入や貯留状況の確認に必要な坑井の準備・掘削を行い、安定運用に向けた稼働準備を進めます。

CO₂貯留・管理に使われる井戸

回収したCO₂を貯留層へ圧入するための圧入井、圧入中および圧入後の地下状態を継続的に確認するための観測井を掘削します。
観測井では、温度・圧力等のセンサーや微小振動を捉える地震計などを設置し、計画どおりにCO₂が管理されているか確かめます。異常の兆候が見られた場合には、状況を詳しく確認し、必要に応じて対策を検討するための重要な手段となります。

掘削の技術・安全性

掘削作業は、掘削する場所の地質や条件に応じて技術を使い分け、環境や周囲への影響を抑えながら進められます。
掘削中は、地層を破壊することなく、かつ地層流体が噴き出したりしないよう、地下の圧力や地層の状態を常に監視しながら、予定深度まで掘り進めていきます。予定深度に到達後は、ケーシングパイプと呼ばれる鋼製のパイプを掘削した穴の中に設置し、そのケーシングパイプの外側をセメントにて固定させることにより、掘削した穴の崩壊を防ぎ、安全に長期間利用できる構造とします。

掘削に使用する設備

掘削作業には、「リグ」と呼ばれる専用の掘削設備・装置を使用します。首都圏CCS事業では、海底下の地層を調査・確認するため、海上掘削リグを使用し、掘削作業を行います。ビットと呼ばれる先端部分のドリルにパイプをつなげて回転させ、泥水(でいすい)と呼ばれる掘削用の液体を循環させながら、地層を掘り進めていきます。

海上掘削リグ
海上掘削リグ
補足:泥水(でいすい)の役割

泥水は、掘削中に発生する削りくずを地上へ運び出すとともに、地下の圧力を安定させ、掘り進めている穴や周囲の地層を保護する役割を担う流体です。地下の状態に応じて泥水の性状を管理・調整しながら使用することで、地層の崩壊を抑え、安定した掘削を行うことができます。

技術

目的地到達の為の掘削技術

CCSプロジェクトでは、貯留層へ正確に到達することが不可欠です。当社では、最新の方向性掘削技術を駆使することで、複雑な地質条件下においても、狙った貯留層へ精度高く到達することが可能です。これは、正確なデータを取得するために重要な技術です。

掘削時のモニタリング技術

掘削中の地層情報や井戸内の圧力をリアルタイムで監視するシステムを導入します。異常兆候や地下の物性変化を即座に検知し、迅速な対応を可能にすることで、安全性と効率性が飛躍的に向上します。

掘削後の井戸健全性評価

掘削完了後、井戸の健全性を評価するために、セメントの充填状態やケーシングの密閉性を検査します。これにより、将来的なCO₂漏洩のリスクを排除し、CCSの長期的な安全性と信頼性を高めます。

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